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Pick UP! ハマのみらい「横浜ベビーヒップホップスタジオ 」


    地元商店街に見守られ17年
    プロのダンサーの育児経験から生まれた 知育と交流の場

    幼児クラスのレッスン風景(2019年撮影)

    横浜市港北区・大倉山レモンロード商店街の一角にあるダンススタジオ「横浜ベビーヒップホップスタジオ」が、今年開所17年を迎えた。独身時代にプロのヒップホップダンサーとしてキャリアを積んだ女性が、地域の親子のために発足した、乳児向けのヒップホップダンスサークルが原点だ。

    今、このスタジオから世界の舞台へ羽ばたくダンサーや、好きなことや興味のあることに真っ直ぐ取り組んでいける力をつけた若者が多数輩出されている。全世代で「自分らしさ」を求められるこれからの社会。未来を生き抜く力を育む、世界初の「赤ちゃんから始めるヒップホップ」の誕生と、主宰女性の軌跡に迫る。

    昼はバンカー、夜はダンサー。働きながら「好き」を極めた独身時代

    横浜ベビーヒップホップスタジオ代表の浜中晶子(はまなか・あきこ)さんは、自身もプロのヒップホップダンサー。そして意外にも、独身時代は銀行員という堅実な経歴を持つ。

    短期大学卒業後、大手銀行に就職。入行半年ほどで趣味と体力づくりの一貫として、ヒップホップダンスを習い始めた。時は1990年代前半。バブル期の日本はディスコ文化が栄え、その熱は冷めやらず、さまざまなダンスが学生や若手の社会人に浸透した。そんな中、浜中さんは趣味の域を超えダンスが日常の一部になり、昼はバンカー、夜はダンス教室の生徒兼アシスタント講師の二足のわらじを履くことに。ダンス教室の厚意で同じ建物の一室を寝泊まりの場として貸してもらい、そこから銀行へ出勤するほど、ダンスにのめり込んだ。

    そんな彼女も社会人5年目の25歳の時、銀行を辞め、ダンサーの道へ進む決意をする。安定した銀行員の生活から一転、夢を追う若者らしい金銭的な苦労もしっかり経験したという。厳格な父親の理解を得られない中、一つ一つ実績を積み、才能を開花させた。

    後にダンサー人生の宝となる「我が子の成長〝観察〟日記」

    プロのダンサーとして軌道に乗ったころ、仕事を通してのちの夫となる男性と出会い、結婚。一念発起し専業主婦として家庭に入り、妊娠・出産を経験した。

    長男が生後6ヶ月の頃、地域のママたちと親子で楽しく体作りをするダンスサークルを始める。初めは公共の体育館を月一回、短時間借りて、10組ほどの少人数で集まるものだったが、ダンサーの血が疼く。赤ちゃんたちに伝わるようにヒップホップを教えるにはどうしたら——。手がかりを探るため、我が子との日常にダンスの基礎を取り入れた際の反応を、一週間ごとに月齢とともに記録した。浜中さん曰く「理科の朝顔の観察日記のように、息子の記録を細かくつけるんです。例えば『今週は左右というものはまだ理解できないが、横という概念は理解できた』という風に」

    我が子と楽しんだ地域の活動が、「仕事」へ発展する

    浜中さんの親子ヒップホップダンスサークルは、無料だったこともあり、口コミで参加者が増え、多い時は一回に100組ほどが集まる大所帯に。しかし、この集客数が、浜中さん一人での運営を難しくしていた。この悩みにアドバイスをしたのが、バンカー時代の元同僚。「お金をとって仕事にすれば、無料の時のような人数は集まらないし、本当に習いたいと思う親子にレッスンができるよ。」目からウロコの発想だった。

    「赤ちゃん向けのヒップホップなんて、本当に仕事になるのかな?」浜中さんは半信半疑ながら有料レッスンの講師業を始めたが、これが大当たり。あの「我が子の成長〝観察〟日記」を元にした世界初の乳児〜幼児向けヒップホップダンスメソッドが、功を奏したのだ。

    ほどなくして長男が幼稚園入園の年に、子育ても両立できるよう、自宅近くの商店街のテナントでスタジオ経営をスタートした。

    「子どもたちは大切な師匠」この言葉を胸に歩んだ17年

    教え子たちと浜中さん

    開業から17年。浜中さんのスタジオは、CMや世界で活躍するキッズダンサー達を輩出し、業界でも注目される教室に成長した。また、彼女が考案したベビーヒップホップダンスのメソッドは、将来ダンスとは別の分野へ進む子どもたちにもたくさんの良い影響を与えている。

    ダンスのレッスンの中に、子どもたちが日常で目にするもの——動物や植物、電車や飛行機などの乗物、数字の概念など、その後の個々の興味に繋がるきっかけが随処に散りばめられている。幼児期に体づくりの一貫で楽しい体験をした子どもたちは、各々に「好き」を掴んで巣立っていくという。

    「私自身、子どもたちが大切な人生の師匠。今後もダンスを通して、地域の親子の心と体がほどける、そんな居心地の良い場所を作れたら」と、浜中さん。挑戦は続く。

    横浜ベビーヒップホップスタジオ
    https://yokobaby.jimdo.com
    〒222-0037 神奈川県横浜市港北区大倉山1丁目12-1
    東急東横線 大倉山駅 徒歩3分。体験レッスンや見学も受付けている。
    2022年10月16日(日)港北区のショッピングモール「トレッサ横浜」にてイベント開催。
    詳しくは[ココ周辺NEWS]にて。

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