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Pick UP! ハマのみらい 「共に走る、共に育む─ビーチサッカーが繋ぐ家族の絆と競技の未来」


    今回取材を受けていただいた平間選手ご夫婦。ホームである横浜市瀬谷区のロペビーチパークにて愛息と共に。

    2024年JFA全日本ビーチサッカー大会で優勝した「レーヴェ横浜」。
    ご夫婦で活躍する選手が所属する、強豪プロクラブ

    ビーチサッカーという競技をご存知でしょうか?
    裸足のまま砂上を駆け、空中で繋ぐパスワークからアクロバティックなシュートを放つ。
    照り返す煌めきの中で繰り広げられる華やかなプレーは見る者の目を奪います。

    横浜市瀬谷区に本拠地を置くビーチサッカーのプロクラブ「レーヴェ横浜」は、この競技の楽しさや見どころをより多くの方に知ってもらうため、地域との交流から全国大会への遠征まで積極的な活動を行っています。

    ビーチサッカーは一般的なサッカーと比べ、男女ともに競技人口はまだまだ多くはありません。主力選手が長く第一線で活躍できる体制を整えるため、選手それぞれのライフステージの変化に応じた配慮が不可欠となります。レーヴェ横浜のコートでは、家庭や仕事と両立しながら高いポテンシャルを保つ選手が生き生きと駆けています。

    今回はサッカーJ3で活躍しビーチサッカー日本代表選手にも選ばれた実績のある平間直道選手と、レーヴェ横浜内女子チーム「FRAU」に所属しプレーしている平間唯選手のお二人に、競技人としての視点とご家庭人としての視点の、2つの視点からお話を伺い、レーヴェ横浜の様々な取り組みとビーチサッカーの魅力について迫ります。

    白砂舞う空中戦、ビーチサッカーの魅力

    レーヴェ横浜トップ・平間直道選手

    ルールはサッカーとフットサルとも少しずつ異なり、1チーム5人編成でサッカーと同サイズの少し柔らかいボールを使用。また、ファウルの際は全てフリーキックとなるので得点のチャンスが多いのも特徴です。
    選手視点で思うこの競技の魅力はどんなところにあるのでしょうか。

    直道さん「オーバーヘッドなどアクロバティックなプレーがあるのは勿論、キーパーが4秒しかボールをキープ出来ないなどルール上展開が早いスポーツである点も見どころです」

    わずか縦37メートル程度のエリアで目まぐるしく攻守が入れ替わるスピーディーなゲーム運び。また凸凹の激しいフィールドではときに砂に足を潜らせすくい上げて放つ浮き玉のパスでボールを運びます。

    唯さん「浮き玉を利用して相手をスライドさせる「崩し」であったり、浮かせたままパスを繋いでゴールまでいけた時はかなり盛り上がりますね」

    実際のプレーを目の当たりにするとその独特さは一目瞭然。ゴール付近で競り合っていたかと思えば、次の瞬間には反撃の王手を掛けていたりと目が離せない展開に興奮します。
    網目越しに眺めていた筆者の足は気付けば白い砂の上へと踏み出していました。

    親として、兼業プレイヤーとして

    レーヴェ横浜FRAU 平間唯選手

    キャリアの進展、家庭を築くこと、個人として掲げる夢…大切にしたいものが増え、ライフワークと人生をはかりに乗せるような瞬間が幾度となく訪れる30代。
    特に女性にとって出産や育児は大きなターニングポイントです。

    これらを乗り越えながらもFRAUの選手として活躍している唯さんにとって、競技者人生との両立を考える上での壁や困難はあったのでしょうか。

    唯さん「それはもうずっとあります。葛藤の連続ですね」

    平間選手ご夫妻には、中学生、小学生、未就学児の3人のお子さんがいらっしゃいます。日常の家事からそれぞれの食事の準備に学校や園の支度。ただでさえ慌ただしい日常を営みながら、ご夫妻ともにお仕事もされています。
    このような状況の中で唯さんが自宅から離れたコートでの練習時間を確保するのは至難の業です。時には母親である自分と選手として生きる自分、その狭間で葛藤し行き詰まってしまうことも。

    しかし、そんな時こそ決して無理はせず、ご家族に悩みや葛藤を隠さず共有するそうです。

    唯さん「家族に悩みを打ち明け、意見を聞いてみると、ナオ(直道さん)もビーチサッカーを続けて行こうと言ってくれますし、子どもたちもママのプレーが見たいと言ってくれたりします。そのお陰で続けてこれているというのはあります」

    大切な家族のことだから悩み、そしてその家族の答えが自分自身の人生の支えになる。唯選手の弾けるような笑顔のには、たくさんの困難を乗り越えてきたからこそ現れる、優しさと強さが溢れていました。

    取材当日は土曜午前の練習時間。ご夫妻の上の2人お子さんはそれぞれ地域のサッカークラブでの練習へ、一番下のお子さんは共に練習場へ来ていました。ご夫妻それぞれの練習時間には、パパママの見える距離でスタッフや他の選手がお子さんとパス遊びをするなど、クラブの皆で子育てを自然に支え合う姿も印象的でした。

    そして、夫である直道さんは現在プロ選手としての活動と会社勤務を兼業し、父として子育てに従事する傍らスクールでの指導も行っています。

    直道さん「チームとしては日本一、選手としては日本代表を目指すという明確な目標があるので時間やモチベーションの管理を大変と感じることはないです。仕事は家族のために責任を持ってしっかりと取り組んでいます。また、元々子どもが好きなこともあって指導者としても楽しんで続けられていますね。自分に合っている仕事なのかなと思います」

    なぜ続けるのか、何のために続けるのか。向かう先とその理由をしっかりと見据えつつ、どんな時も家族を中心に考える。お二人の間で同じ想いがあるからこそ、諦めることなくピッチを走り続けていられるのでしょう。

    この競技を育てていくこと

    ふかふかの白砂が心地よい「LÖPE BEACH PARK(ロペ ビーチパーク)」のコート。土曜は一般の方への貸出も行っている。

    サッカーやフットサルと比較して、まだ一般にはあまり認知が浸透していないビーチサッカー。これを進め、日本における競技の可能性を広げていく。そのためにレーヴェ横浜では選手の活躍だけに留まらない様々な努力を行っています。
    大きな転換点として、2023年11月にはクラブのホームとなるビーチコート「LÖPE BEACH PARK(ロペ ビーチパーク)」が瀬谷区にオープンしました。

    チームと競技がともに育っていくための場所=ホームをつくること。その意義は非常に大きなものだと思います。

    直道さん「僕の母の弟が在籍する企業がホームとなるこのコートのスポンサーを引き受けて下さり、引き続きクラブとして運営していくことが出来るようになりました」

    当コートでは選手のトレーニングだけでなく、ビーチサッカーを気軽に体験出来るスクールやフィットネスなど未就学児から親世代まで誰しもが競技と出会える場を提供しています。主に土曜に開催される「個ビーチ」では、親子で砂場へ遊びに来たり別競技のプレーで利用したりと利用方法も自由。

    直道さん「明るく楽しい気持ちになれるスペースなので、ぜひ気軽に遊びに来ていただけたらと思います」

    実際にコートを歩いてみると、白砂は浜辺の砂よりふかふかで柔らかく、煌びやかな景色と相まって心踊る高揚感を与えてくれます。

    クラブの皆さんの雰囲気もとても温かく、このコートが単なる拠点に留まらない「家」のような場所として、その輪を広げていく未来が見えるようでした。

    ロペ ビーチパークで行われたレーヴェ秋祭りの様子。地元中屋敷商店街の協力のもと、地域の方の憩いの場となった。

    レーヴェ横浜ではこれまでに自治体と連携し地域に根差した数々の活動を行ってきました。
    ホームゲームの観覧に合わせて行われた「レーヴェ秋祭り」では瀬谷区長も見学に訪れ、縁日やキッチンカーの出店、U12選手によるビーチサッカー大会を開催しました。

    競技の普及と地域貢献を目的に例年主催するイベント「PRIDE BEACH GAMES」では、各所自治体やパートナーシップを結ぶ近隣学校がこれをサポート。国内トップの選手・チームが参加し、競技史に刻まれる一大イベントを作り上げてきました。

    選手をサポートするマネージャーの山田さんは「日々活動を支えてくれているこの町に恩返しをしたい」と言います。

    そして今、瀬谷はかつてない注目と活気を高めています。
    2027年には上瀬谷にてGREEN×EXPO 2027(国際園芸博覧会)の開催が予定されており、さらにその数年後には旭区とまたがる位置に東京ディズニーランド規模の大型テーマパークKAMISEYA PARK(仮称)の開業を控えています。

    瀬谷から横浜を盛り上げていく。その前途で、レーヴェ横浜ではビーチサッカーを通してさらなる地域への貢献と競技の普及を図りたいと考えています。

    皆でプレーする時間は嫌なこともすべて忘れてしまいます、と話す唯さん。自身のライフワークとしては勿論、お子さんにも良い影響を与えているそう。

    唯さん「上の子ども2人は現在自宅がある地域のサッカークラブでプレーしています。私たち夫婦がビーチサッカーをしているため、彼らは早いうちから遊びの一環で裸足でボールを蹴っていたのですが、足の感覚が掴みやすくスパイクを履いて行う通常のサッカー技術の向上にも繋がっていることを実感してます。自分たちの選んだ競技が、彼らのサッカーのプレーにも活かしてあげられている部分があるのかもしれません」

    こうして培われる足趾力(そくしりょく)は足が疲れにくくなるなど日常生活でのメリットも。また、思い切り体を動かすことで楽しみながらリフレッシュ出来ます。

    平間選手ご夫妻のお子さん同様、小さな子どもたちの遊び場として白砂ビーチを選ぶことは◎。
    そしてまた私たち大人の心とからだにも、とても良い影響がありそうですね。

    直道さん「自然の中で裸足になれるので、普通のサッカーよりも開放感を感じられるスポーツだと思います」

    ひととき日常を離れ、他にない魅力的な空間で新しいアクティビティを体験してみる。世代や経験の隔てなく迎え入れてくれるビーチサッカーの世界に是非飛び込んでみてはいかがでしょうか。

    私たちの街・横浜には、野球やサッカーをはじめ、様々な分野のプロチームが本拠地を構えています。
    中でも今回取材したレーヴェ横浜は、知れば知るほど私たちにより近く、そして私たちの手でサポートしていくことのできるあたたかなプロクラブでした。

    今まさに熱を帯びつつあるこのクラブと競技の発展を、ココハマ.はこれからも応援していきます。

    ◇インタビュー・撮影・記事執筆:石井裕也 ◇編集・デザイン:ココハマ.編集部


    「レーヴェ横浜」
    ホーム ロペビーチパーク:〒246-0004 神奈川県横浜市瀬谷区中屋敷3丁目21−2
    【相鉄本線「瀬谷駅」下車 徒歩約20分】

    ◯公式HP
    https://www.loeweyokohama.com/
    ◯YouTubeチャンネル
    https://www.youtube.com/channel/UCcRT0Vx-I_cazY_lmcse53w
    ◯インスタグラム
    https://www.instagram.com/lowe_yokohama/

    スポンサー希望、クラブへの寄付のお問い合わせは
    レーヴェ横浜公式HP内「お問い合わせ」フォームよりご連絡ください。


    information

    レーヴェサッカースクール
    https://www.loewesoccerschool.com

    お問い合わせ
    info_lowe@lyfc2015.com


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